昔話にこわい場面が多いのは、もともと大人にも語られてきた話だからです。3〜6さいのお子さまに読むときは、話ごと避けるのではなく、「結末を先に伝える」「声を小さくして通り過ぎる」「読んだあとに一言そえる」の3つで、ほとんどのこわさは扱えます。それでも合わない話は、無理に読まなくて構いません。
どうして昔話には、こわい場面が多いのか
むかしの昔話は、子どもだけのものではありませんでした。村の大人が夜に語り合う話でもあり、命や死、飢えといった現実がそのまま入っています。おばあさんが食べられる、犬が殺される、といった場面が残っているのはそのためです。
つまり、こわい場面があるのは「昔話が子ども向けに作られていないから」であって、その部分に教育的な意味があるわけではありません。だから、3〜6さい向けに読むときは、省いてもお話は壊れません。
ひまりスタジオでも、38話を3Dえほんにするとき、残酷な場面はすべて省きました。たとえばかちかち山では、おばあさんが亡くなる場面を入れず、たぬきが逃げるところまでにしています。三びきのこぶたでは、子ぶたはだれも食べられません。
こわがりのお子さまでも読める話・気をつけたい話
同じ「勇気」を伝える話でも、こわい相手が出るかどうかで選べます。下の表は、ひまり姫の38話をこわさで分けたものです。
| こわさ | お話の例 | 内容 |
|---|---|---|
| こわい場面なし | おおきなかぶ・おむすびころりん・わらしべ長者・赤いめんどり・ねずみのすもう | 悪い相手が出てきません |
| 少しどきどき | 三びきのこぶた・ももたろう・きんたろう・ライオンとネズミ | こわい相手は出ますが、傷つく場面はありません |
| しんみりする | つるのおんがえし・かぐや姫・浦島太郎・はなさかじいさん | 別れやさびしさがテーマです |
| 昼間に読みたい | 三枚のお札・マッチ売りの少女・赤ずきんちゃん | 追われる場面や、かなしい結末があります |
こわい場面の、3つの通り過ぎ方
話ごと避けるのではなく、読み方で調整できます。ひまり姫のえほんでも、この3つを前提に作っています。
- ① 結末を先に伝える。「最後はおおかみが逃げていって、もう来なくなるお話だよ」と言ってから読むと、こわい場面が「もうすぐ終わる場面」に変わります。
- ② 声を小さくして、ゆっくり通る。こわい場面を大きな声で読むと、記憶に強く残ります。反対に、小さくゆっくり読むと、通り過ぎやすくなります。
- ③ 読み終わったら、一言そえる。「みんな、ぶじだったね」「おうちに帰れてよかったね」。この一言があるだけで、寝る前でも落ちつけます。
こわがってしまったときの対応
泣いてしまったり、寝つけなくなったときは、まず読むのをやめて閉じてください。最後まで読む必要はありません。
そのあと、「こわかったね」とだけ言って、抱きしめてあげてください。説明や、「こわくないよ」という否定は逆効果です。こわかった気持ちを認めてもらえると、落ちつくのが早くなります。
落ちついたら、結末だけを短く伝えます。「あのあとね、みんな無事におうちに帰ったんだよ」。話の途中で止まったままだと、頭の中でこわい場面が続いてしまうためです。
次の日は、こわい場面のない話に戻してください。数か月たてば、平気になっていることがほとんどです。
何歳から、こわい話を読んでいい?
目安として、鬼やおおかみが出る話は4さいごろから、別れやかなしい結末のある話は5さいごろからをおすすめしています。ただし、これは平均の話です。
ほんとうの目安は、年齢ではなく「読んだあとに、自分で気持ちを話せるかどうか」です。「こわかった」と言葉にできるお子さまは、こわい話を消化できます。言葉にできず、だまってしまうお子さまには、まだ早いということです。
ひまり姫の各お話のページには、「対象年齢」と「こわい場面はありますか?」の項目を必ず入れています。読む前に確認してください。
よくある質問
残酷な場面がある昔話は、読ませないほうがいいですか?
3〜6さいのうちは、省いた版で十分です。もとの残酷な場面に教育的な意味があるわけではありません。小学生になってから、原典に近い形で読む機会を作れば十分です。
ひまり姫の絵本では、こわい場面をどう扱っていますか?
残酷な描写はすべて省いています。かちかち山ではおばあさんが亡くなる場面を入れず、三びきのこぶたでは子ぶたが食べられず、ももたろうでは鬼と戦わずに約束させます。
子どもがこわがったら、途中でやめてもいいですか?
やめて構いません。ただし、閉じたあとに結末だけを短く伝えてください。途中で止まったままだと、頭の中でこわい場面が続いてしまいます。
こわい話を読むと、心が強くなりますか?
こわさそのものが心を強くするわけではありません。強くなるのは、こわかった気持ちを言葉にして、受け止めてもらえたときです。読んだあとの会話のほうが大切です。
鬼が出る話は、節分の時期に読んでもいいですか?
はい。ただし「悪い子のところに鬼が来る」というしつけの使い方は避けてください。こわさが日常に持ちこまれ、寝つけなくなる原因になります。
何歳から、かなしい結末の話を読めますか?
5さいごろが目安です。読んだあとに「かなしかった」と自分で言えるようになったら、消化できるサインです。
38話それぞれのページに、対象年齢と「こわい場面はありますか?」を書いています。安心して選べます。
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